デブスポ

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2+2=4 2×2=4

 昔、ベカルタ仙台というJリーグチームにひとりの熱心なサポーターがいました。戦術くんといいます。もちろん本名ではありません。まだ、仙台が人気のなかったチーム、J2やJFLのころからスタンドにいて、誰よりも大きな声で、ベカルタ仙台を応援していました。

 彼は、いつもスケッチブックを応援ボードがわりに持って、応援していました。そのボードには戦術が書かれていたり、メッセージが書かれています。手に持ちながら、一生懸命応援する彼のすがたを見て、みんなは「戦術くん」と呼び始めたのです。仙台がその後、J2に上がり、J1にあがり、そして6万人がはいる宮城スタジアムを満員にするチームになっても、彼の姿はスタンドにありました。

 そんな彼が、持っていたボードのひとつに

 2+2=4  2×2=4

 と計算式が書かれたものがありました。見ていた人は、そのボードが出るたびに不思議に思っていました。戦術くんは、いつも熱心に応援しているため、なかなかその意味を聞くことができません。ただ、ある日、意を決した一人のサポーターが戦術くんに、そのボードの意味を聞きました。じゃあ、戦術君は、「ゴールにたどり着く過程は違っても、結果的にそこにたどり着ければそれで良いということです」と言いました。

 その後、仙台はJ2に再びおち、またJ1に上がり、またおち、そしてまた上がって、今年はJ1での優勝争いをしています。いろいろ迷いながらも、前に進む仙台。いつしか彼の言葉は、ファン、サポーターの中での、共通の言葉となっていくのです。

 彼の姿は、もうスタンドにはありません。2002年、宮城スタジアムで日韓ワールドカップが行われた年に心筋梗塞で34歳の若さながら亡くなりました。しかし、彼の思いは、今もベカルタ仙台というチームに息づいています。

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(2011ー11ー01記)